電子カルテ OpenDolphin 2.7m (系列) FAQ
今でもときおり電子カルテ OpenDolphin 2.7m 系列に関して質問などが寄せられるので、代表的なものを記しておきます。
なおこれまでにもメールなどでの問い合わせには可能な限り答えてきましたが、どうしても説明が断片的になってしまうので、ある程度体系的な解説を
『OpenDolphin-2.7m コード解説 -FileBackUpSystem と電子カルテのデータ構造-』
に載せておきましたので、よろしくお願いします。
余裕があれば、テキスト処理系ソフトのデータのデータベースへの格納方法や医療情報の2次利用方法に関しても触れる予定です。
Q1 カルテの実体はどこにあるのか?
A1 データベース(たいてい PostgreSQL)の BLOB 領域にバイナリの形で記録されてます。
「テーブルを探したがそれらしい箇所がない」ということでこの問い合わせは多いんですが、一般のテーブルに記録させたら改変し放題になってしまうということと下記の理由でこういった設計になっていると思われます。
BLOB は Binary Large OBject の略です。一般に、通常のカラムに収めきれない巨大なデータ(例えば、動画共有サイトに投稿される動画データなど)は LOB として扱います。電子カルテ1レコードは理屈の上では上限がないので、カラムに収容せず、LOB として扱ったものと思われます。
なお、慣例的に Binary 型のデータを BLOB、Character 型を CLOB と呼んでいます。
ちなみに、PotgreSQL の BLOB には bytea 型と oid 型がありますが、OpenDolphin では oid 型で設計されています。
OpenDolphin のデータ記載内容は、構造化されています。SOA 領域 と P 領域に大別され、さらにSOA はテキストと図版の項目、P はオーダー項目別に構造化されています。
dolphin データベースの関与するテーブル、つまり d_karte -> d_document -> d_module をこの順に追っていくと、類推がつくかと思います。
Q2 2.7m のファイルバックアップシステムで <P> 処方内容も書き出すようにして欲しい。
A2 既に対応済みです。
これまでにも看護記録などのシステムを開発している方に助言めいたことはしたことがあります。
Q4 データ移行ツールのバイナリ・ソースコードなどは配布・公開しないのか?
→加工したデータを再度、OpenDolphin などの電子カルテデータベースに戻す
それに、最近はこの要望はほぼないです。みなさん、クラウドに移行したか、自力で立派に運用されているんではないでしょうか
→ 訂正。たまに、きますね(^^;)
データ移行ツールは求めに応じて貸し出してますので、何かあったらご連絡のほどを。
念のためメドレー様に訊いてみましたが「問題ない」とのことだったので、そういうことで。
(『OpenDolphin-2.7m のこれから』参照)
なお、データ移行ツールの出力を html 形式に対応させました。
さらに、PDF 形式にも対応させました。
保管と閲覧だけでいいという場合は、こちらの方が便利でしょう。
詳細は『OpenDolphin HTML/PDF Viewer プロジェクト』をご参照ください。
Q5 OpenDolphin は以前は「医師が開発に関与して」的な広報のされ方をしていたが、「和歌山の先生」などという表現から察するに現在はそうは受け取られてないようだ。
どこまでが本当なのか?
A5 どこまで本当なのでしょう。私もよくわかりません。
ただ、以前にメドレーと連絡を取ったとき、担当者からは「その当時の開発元と著作権者(とされていた人たち)との間になんらかの契約があり、そういった意味での『開発者』であり、現在はその人たちに著作権はない(メドレーが完全保有している)」といった主旨の説明を受けました。
実際、OpenDolphin 自体はメドレーに譲渡されて以降も細々とながらも商用版のメンテナンスは続けられています。が、ソースコードは公開されていません。
もう開発元自体が「オープンソース」の旗を降ろしてしまったわけです。
ただし、Dolphin プロジェクト自体は、過去に「オープンソースの電子カルテを開発する」という名目で通産省から助成を受けており、今さら「あれは本来の意味でのオープンソースではなかった」とアナウンスするわけにもいかないでしょう。
そういった経緯もあってか、過去の広報のされ方云々に関してはちょっとボカしているのかな?とは思います。
また、「和歌山の先生」は一時期近寄ってくる人たちにかなり攻撃的な感じだったんですが、OpenDolphin 自体の技術的な構成やブラウザタイプの電子カルテが登場していくにつれ、その主張がかなり的外れなものだったと現在では捉えられていると思います。
後で触れるかもしれませんが、その一つに OpenDolphin-2.7m 系列が彼が開発したとされているバージョンの派生物だ、というのがあります。
OpenDolphin HTML/PDF Viewer → WebDolphORCA の流れを見てもらえればわかるように、データベースの構造や API の仕様も明らかにされていないサーバーにウェブレイヤーを被せるというのは正直無理です。
また、デスクトップアプリを少々改変したところでブラウザ型にはなりません。
さらに、文献的な調査などから OpenDolphin 自体の基本的な設計は、その多くを前身の e-Dolphin から引き継いでいることが次第にわかってきました。
時系列的に考えてオープンソース化された後で開発に関与したとしても、基本設計レベルで貢献することは難しいし、実際にそうではなかったものと思われます。
なお、ソースコード上では彼の名前は散見されるのですが、(この説明は少々ややこしいので省きますが)これは日本の著作権法的には違法ではないです。
あくまで、その時点では著作権表記の権利を持っていたということでしょう。
現在(2021以降)は、商標権など諸々含めてメドレーが完全に保有しています。
Q6 OpenDolphin-2.7m は OpenOcean が後継だとされていたが、現在ではどうか?
A6 おそらく、WebDolphORCA が後継になると思います。
⭐️なお、ソースコードは
GitHub
https://github.com/Hiroaki-Inomata/OpenDolphin-2.7m
https://github.com/ANN2b-MD/OpenDolphin-2.7m
GitLab
https://gitlab.com/Hiroaki-Inomata/OpenDolphin-2-7m
に置いてあります。(細かい説明は省略しますが、上記リポジトリのソースコードは現在同一です)
⭐️インストール方法は
『OpenDolphin』
『OpenDolphin-2.7m を Mac OSX にインストールする』
『OpenDolphin-2.7m を M1 Mac にインストールする』
あたりを参考にしてください。
⭐️ 開発の経緯に関しては
『OpenDolphin について』
『OpenDolphin と電子カルテの3要件とメドレー』
⭐️ その他全般的なことに関しては
『OpenDolphin -wiki 風解説-』
などもどうぞ。
OpenDolphin-2.7m, HorliX 開発者
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